結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「ありがとうございます。カール子爵。……ですが、この資料はいったいなんですか?」
普段のトユン事務官からは想像できないほどの低く冷静な声に、容赦のない冷めきった目。
視線を向けられていない私ですらゾッとしてしまったほど、恐ろしい空気が流れている。
「……え?」
先ほどまで輝いていたカール子爵の顔は、今では真っ青になっていた。
「ここも、ここも。なぜこんなに間違いが多いのでしょう?」
「え。そ、そんなに……」
「まさか気づいていなかったのですか? 私でも初見ですぐに気づきましたよ。よくこれで計算が得意だなんて言えたものですね」
「あ、あの……トユン事務官、もも申し訳ございま……」
嫌味満載で詰め寄られているカール子爵を、参加者たちは見て見ぬふりだ。
下手に庇って要らぬ火の粉を浴びたくないからである。
普段のトユン事務官からは想像できないほどの低く冷静な声に、容赦のない冷めきった目。
視線を向けられていない私ですらゾッとしてしまったほど、恐ろしい空気が流れている。
「……え?」
先ほどまで輝いていたカール子爵の顔は、今では真っ青になっていた。
「ここも、ここも。なぜこんなに間違いが多いのでしょう?」
「え。そ、そんなに……」
「まさか気づいていなかったのですか? 私でも初見ですぐに気づきましたよ。よくこれで計算が得意だなんて言えたものですね」
「あ、あの……トユン事務官、もも申し訳ございま……」
嫌味満載で詰め寄られているカール子爵を、参加者たちは見て見ぬふりだ。
下手に庇って要らぬ火の粉を浴びたくないからである。