結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
まさかそれが心優しいトユン事務官になってしまうなんて、お気の毒というか本当に殿下ってば意地が悪いというか……。
「もう結構です。あなたはこの企画から外れてください」
「そっ、そんなっ……!」
トユン事務官が目で合図を送ると、入口に立っていた警備兵がカール子爵の腕を掴んでズルズルと引きずっていく。
何度見てもこの光景には胸が痛む。
ああ……また1人辞めさせられてしまったわ。
あの腹黒王子のせいで。
ジョシュア殿下は、まるで『俺には何もできない。ごめんね』というような困った表情を浮かべながら、カール子爵を見送っている。