結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
でも、みんなトユン事務官に怯えすぎじゃないかしら?
ジョシュア殿下のほうが、もっと嫌味ったらしくて小言もうるさいわ。
氷のような目や声だってもっともっと恐ろしいのよ?
落ち込ませる言葉だけじゃなくて、こっちを苛立たせる言葉もたくさん言ってくるし、精神的苦痛は何倍も多いと思うわ。
殿下のことを麗しの完璧王子だと思っている方々に、ぜひとも一度あの恐怖を味わっていただきたいものだわ。
会議の記録を取りながらチラッと殿下を見ると、思いっきり目が合ってしまった。
わっ! 考えてることがバレた!?
……まさかね。
うっすらと口角を上げたジョシュア殿下の笑みに気づかないふりをして、私は慌てて議事録に目を移した。