結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
8 私が妃候補決めの担当に!?
「ふぅ……」
「お疲れ様でした。セアラ秘書官」
「あ。お疲れ様でした。トユン事務官。……大丈夫ですか?」
会議室の片付けをしていると、げっそりとやつれた顔をしたトユン事務官に声をかけられた。
彼はこの会議の間にだいぶ老けてしまったようだ。
「あまり大丈夫ではありません。引きずられていくカール子爵の姿が頭から離れませんし、胸が痛くて食欲がまったくありません……」
トユン事務官は自分の胸元をぎゅっと掴んで苦々しい顔をした。
「まあ。トユン事務官が胸を痛める必要はありませんわ。すべて殿下の指示ですもの」
「ですが……こればっかりは何度やっても慣れません」
「慣れなくて当然ですわ。人を傷つけて平気な顔をしていられるのは、ジョシュア殿下くらいで──」
「俺がなんだって?」
!?