結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「ひ、人を傷つけて平気な顔をしていられる……人なんていませんよね! って話すつもりだったんです」
 
「へえ? なんかその後に俺の名前が聞こえた気がしたけど」
 
「気のせいですよ。ねぇ、トユン事務官?」
 
「えっ? あ、あのっ」

 
 作り笑顔の私とジョシュア殿下にジーーッと見つめられて、ウソの苦手なトユン事務官が口籠る。


 
 ああ……ウソにつき合わせてしまってごめんなさい。トユン事務官。
 もうこれ以上どうしても罰を受けたくなくて……。



 今日は朝から痛い薬を塗られ、お昼には大嫌いなクア草のサラダが待っている。
 ここで殿下の陰口を言っていたのがバレたなら、午後にも何か嫌がらせをされてしまう可能性が高い。


 
 ……とはいえ殿下にはウソだってバレてるでしょうけど。
 でも、最初にハッキリと聞いた! と言ってこなかったのを利用して、なんとか逃げきるしかないわ!
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