結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
はぁ……今日はやけに殿下に盗み聞きをされる日だわ。気をつけないと。
「まさか殿下が戻ってくるとは。驚きましたね」
トユン事務官は汗でびっしょりの額をハンカチで拭きながら、ホッとしたように呟く。
「そうですね。でも、何事もなく済んで良かったです」
「本当に」
ははっと軽く笑った後、トユン事務官は持っていた書類の中から一枚の用紙を取り出した。
「そういえば、陛下からジョシュア殿下に関する新しい仕事を仰せつかったんです」
「殿下に関する新しい仕事?」
「はい。できればセアラ秘書官にお願いしたいと思っておりまして」
差し出された用紙を見ると、そこには『ジョシュアの妃候補をひと月以内に決めるように』と書かれていた。
「ジョシュア殿下の妃候補!?」