結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
11 秘書官を辞めたいです
「おはようございます。セアラ秘書官」
「あ、おはようございます。トユン事務官」
次の日の朝。
執務室で本日のスケジュールを確認していると、トユン事務官がやってきた。
丸い眼鏡をキラッと輝かせて、今日もいい人オーラが溢れ出ている。
「今日、会議はありますか?」
「ないですよ。今日は『冷徹事務官』の登場もなさそうですね」
クスッと笑いながらそう言うと、トユン事務官は恥ずかしそうに頭を掻いた。
「あはは。良かったです。今朝も、すれ違った男爵子息様に真っ青な顔で挨拶されてしまって……」
「ふふっ。もうだいぶ有名になっていますからね」