結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
2 爽やかな仮面を被った腹黒王子
「それにしても、俺が後ろに立っているのに全然気がついていなかったみたいだな」
「は、はい。ちょっと考え事をしておりまして」
「そうか……。もしかして、多忙で疲れてるのか? 体調が悪いとか?」
心配そうに眉を下げて首を傾げるジョシュア殿下。
慈悲深い殿下の姿を見て、メイドたちから「なんてお優しいのかしら」「さすがジョシュア殿下だわ」と褒め称える声が聞こえてくる。
「いえ……大丈夫です」
「だが、顔色も悪いぞ。本当は調子があまり良くないんだろう? 今日は休みにしよう」
「いっ、いえ! 本当に大丈夫ですから!」
今日は忙しい日なのに、休んでなんかいられないわ!
それに、もし休んでもあとで今日の分の皺寄せが……。
私のための提案をキッパリ断ると、殿下は困ったような顔で小さく笑った。