結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
 トユン事務官から感謝の視線を感じつつ、私は話題を変えるため殿下に書類を差し出した。
 また新たに考えた候補者たちのリストだ。


「というわけで、じっくりと物事をお考えになる殿下。そろそろ妃候補の方を決めていただけますと……」

「まだじっくりと考え中なんだ。だからまた今度な」


 ニヤッと挑発するように口角を上げるなり、ジョシュア殿下がわざとらしい口調で答える。


「ですが、せめて1人だけでも」

「まだ未来を見据えている途中だから、今は無理だ」



 うう……!
 さっきの私の言葉を利用して、うまく逃げてるわ……!



 ジョシュア殿下は『勝った』とでも言いたげな顔で、颯爽と自分の席に座った。
 どうやら今日も候補者を選んでくれる気はないようだ。
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