結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「来月親戚のフィルが学園を卒業したら、私の仕事を引き継ぐ予定です。ですが、殿下の妃候補の件は将来の王妃様を決める重要な仕事ですので、引き継ぎはせずに最後まで私が担当したいと思っております」

「卒業? もう18になったのか?」

「はい。首席で卒業できそうだと聞いております」

「そうか。あと1年先だと思っていた……」


 フィルが今年卒業するのが不満なのか、殿下は眉をくねらせて考え込んでしまった。



 ……おかしいわね。
 


 予想していた反応と違いすぎて、私も目を泳がせる。


 
 意地悪な殿下のことだから、即却下するか達成困難な厳しい条件を突きつけてくると思っていたわ。
 いつものニヤニヤ顔でね。でも……。



 今の殿下に笑みはなく、真剣に考えてくれているのが伝わってくる分、いつもと違いすぎて戸惑ってしまう。
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