結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「殿下。あの、妃候補についてなのですが……」

「またあとでな」
 
「ですが、あれからもう3日です。そろそろ決めていただかないと、その後の審査なども遅れてしまいます」

 
 殿下は私が預けておいた候補者リストを長い机の端に置いたまま、まったく見ている様子がない。
 現在も、それとは違う書類に目を通しているようだ。

 
「忙しいのだから仕方ないだろう?」
 
「お言葉ですが、今ご覧になっている書類の件は急ぎではありません。まずはこちらの候補を選んでください」
 
「俺の妻になる相手を、そう簡単には決められないよ」

 
 ニコッと微笑む殿下は、さも当然のことを言っているかのようにキラキラと輝いている。



 そんなこと言って、いまだに顔すら確認していないじゃない!
 こんなときだけ都合のいいことばっかり言うんだから!
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