結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「セアラ。努力家なのが君のいいところだけど、無理していないか心配だよ。……あっ、そうだ! セアラのためにクア草のサラダを用意させよう」
 
「えっ」


 
 クア草のサラダ……!?


 
「この時期にしか食べられないクア草は、疲労回復の効果があるんだ。セアラの昼食に出すよう、料理長に伝えておこう」
 
「いえ! そんな貴重なもの、私にはもったいないです」
 
「俺の大事な秘書官のためだ。それくらいさせてくれ」

 
 優しく微笑む殿下を見て、メイドたちの頬が赤く染まっている。
 そんな彼女たちから羨望の眼差しを受けている私は、必死にこの状況をどう回避すればいいのかと考えていた。


 
 どうしよう! なんて言えば引き下がってくれるの?
 クア草のサラダだけは無理!
 だって……私はクア草が大嫌いなんだもの!
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