結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 もうすっかり候補決めから逃げる言い訳にしちゃってるわね……。
 すぐに飽きると思ったのに、意外としつこいんだから。


 
「はぁーー……っ」

 
 自分の席で小さなため息をついたつもりだったのに、殿下とバッチリ目が合ってしまった。
 仕事中にため息をついた私を咎めることなく、ジョシュア殿下はニコッとわざとらしい笑みを向けてくる。


 
 ……しかも、好きという設定にしているからか、あの日以来やけに優しいのよね。
 冗談を言ってくるのと、候補者を決めてくれないってこと以外では嫌がらせもないし。
 
 いったい殿下は何を考えているのかしら?
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