結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 バサッ

 ボサボサの黒髪が男性の頭から取れて、その顔がハッキリと見えた。
 短くツンツンした赤い髪の毛。キリッとした眉と目。あいかわらず閉じたままの口。整った顔をしているけれど、愛想がない。

 しかし、この髪色で男性が誰なのかがわかった。



 ルイア王国の王族特有の赤い髪……!!
 この方、もしかしてルイア王国の王子様!?




「まあ。フレッド殿下だったのですね。すぐに気がつかず申し訳ありませんでした」

「いえ。ウイッグを取り忘れていたこちらの落ち度です。……不安にさせてすまなかった」


 母に返事をした後、フレッド王子は小さい声で私に謝罪した。
 表情に変化はなく真顔で淡々とした話し方ではあるけれど、威圧感はない。


「……大丈夫です」



 フレッド殿下……って、たしか第3王子の……。
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