結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜

 ルイア王国は、姉のアイリスが嫁いでいった国だ。
 このフレッド王子は姉の旦那である第2王子の弟──つまり、姉の義弟にあたる。

 騎士として活躍している王子で、姉の結婚式のときには大怪我をしていたとかで欠席していた。
 その後も会うことはなかったため、私たちが顔を合わせるのはこれが初めてだ。



 その第3王子が、なんでうちに……?
 それに……。



 フレッド王子の持っている黒髪のウイッグにチラッと視線を移す。



 あの髪、ウイッグだったのね。
 寝癖の多いボサボサなところも、あの男の子にそっくりって思ったのに。



 初恋の男の子ではなかったとわかり、少しだけガッカリしている自分がいる。
 私がウイッグを見ていると気づいたのか、フレッド王子がウイッグを軽く振りながら説明を始めた。
< 97 / 318 >

この作品をシェア

pagetop