結婚相手を見つけるため秘書官を辞めたいです 〜なのに腹黒王子が「好きだ」なんて言って邪魔してくるのですが!?〜
「この髪色だとすぐにルイア王国の王族だと気づかれるから、外ではいつもウイッグを被っているんだ」
「……変装ということでしょうか?」
「ああ」
「あの、もしかして昔から……?」
「ああ。王族の者は狙われやすいから、幼い頃から変装して出かける」
「そう……なのですね」
ということは、もしかしてあの男の子も……って、そんなわけないわよね。
最初に見たときの印象が強すぎたせいか、今こうして話していてもこの王子があの男の子と重なってしまう。
どこかぶっきらぼうな話し方まで似ているのだ。
「セアラ。外で話していないで、中にご案内して」
「あっ、はい」
母に急かされてハッとする。
私は慌ててフレッド王子の前に歩み出た。
「こちらへどうぞ」