嘘つき、桜月。

 あれはきっと、告白だろう。


 わかるよ。


 幼馴染の私ですら、離れがたいと思ってるもん。


 今年偶然一緒になっただけの貴方だって、寂しいよね。


 でも、私と彼女は違った。


 彼女は、ただの同級生の関係が変わってもいいと、告白をしようとしているのだから。


 私は、今の関係が壊れてしまうことを恐れて、みんなよりも少しだけ友哉に近い立場に甘えている。


 これで友哉にとって、幼馴染よりも近い距離の存在が現れたら、私には文句を言う資格はない、か……


「……いた」


 あの子が友哉の彼女になるかもしれない未来を想像して、私は勝手に傷ついた。


 幼馴染でしょ、私の気持ちにくらい気付け、バカ。


 ……なんて、八つ当たり以外のなにものでもないけど。


「玲奈、待てって」


 もうすぐで昇降口に到着するというタイミングで、私は肩を掴まれた。


 思ったよりも早く追い付かれた。


 そんなことで、私は内心、ほっとしていた。


 だって、友哉一人だから。


 きっと、断ったんでしょう?


 ……これで安心してるなんて、私、最低だ。


「玲奈? どうした?」


 友哉は変わらず、優しく声をかけてくれる。
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