嘘つき、桜月。
  ✿


 友哉が告白された日から逃げて一週間。


 私は、友哉に会っていなかった。


 いや、会いたくなかった。


 友哉から何度か連絡はあったけど、短文を返しただけ。


 あれからどんどん自分のことが嫌いになって、友哉のそばにいる資格がないような気がしてきて。


 それを考えると苦しくて泣けてくるから、現実逃避として春休みの課題に取り組み続けた。


 そのせいで、四月を迎える前に、終わってしまった。


 でも、なにもしないで家にいると、友哉のことを考えてしまう。


 気付けば日差しが暖かくなった昼間。


 窓の向こうから、子供たちの楽しそうな声が聞こえてくる。


 気分転換に、散歩に行ってみてもいいかもしれない。


 そう思って、私は春服に着替え、外に出た。


 閉じこもる時間が長かったから、外の空気は気持ちがいい。


 そうだ、桜はもう咲いたかな。


 友哉の言っていたたい焼き屋も気になる。


 逃げるように外に出たけれど、目的が見つかると、途端に楽しみになってきた。


 雲が流れる青空に、笑顔を向ける。


 うじうじしてても仕方ない。


 二年生になっても、私たちは変わらないよね。


 そう、自己完結をさせたことで、私の足取りは軽くなっていた。
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