【完結】先生、私と愛のために結婚して。
✱ ✱ ✱ ✱

 


 その一週間後の月末ーーー。



「……なあ、矢薙」

「はい?」

 目の前の席でミルフィーユを頬張る矢薙に向かって、俺は「結婚……しようか」と告げる。
 少しだけ動きを止まった後、「……え!?」と驚いたように俺を見る矢薙。

「結婚、しようか」 

 それから何度か矢薙と食事に行ったり、デートをしているが、矢薙の真剣なアプローチに、俺はついに折れてしまった。 
 恋愛下手だからこそ、俺にはこういう風に積極的にアプローチしてくれる女性のほうが、合っているのかもしれない。

「えっ、本当に……?」

 本当に結婚してもいいの?というような表情で俺を見つめる矢薙。

「……色々と考えたんだけど、俺は恋愛の仕方が分からないし、恋愛下手だから。 だから多分、矢薙みたいな子と結婚した方が、俺も幸せだと思えるような気がするんだよ」

 矢薙は「先生……」と嬉しそうに俺を見つめる。

「お前といると、俺は楽しいし。刺激もたくさんもらってるよ」

「本当にいいの、先生?……それで後悔、しない?」

 出来れば、後悔はしたくない。 矢薙の気持ちに応えたいという気持ちは変わらないし。

「俺で良ければ……結婚しよう、矢薙」

「は……はいっ!」

 こんなに嬉しそうに笑っている矢薙は、初めてだ。
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