【完結】先生、私と愛のために結婚して。


 矢薙の涙をそっと拭うと、俺は気が付いたら、矢薙の唇に自分の唇を重ね合わせていた。

「え……?」

「……あ、ごめん、矢薙」

 俺は何をやってるんだ……。なんでキスしてしまったんだ……。
 こんな時に……キスなんてするものじゃないのに。

「先生……あの」

「ごめん。今のは忘れてくれ」

 あー……俺今クソダサいじゃん。

「違うの!……嬉しかった」

「え……?」

 嬉しかった……? 今のが?

「先生からキスしてもらえるなんて……思ってもなかったから、ビックリしちゃって」

「いや、その……俺の方こそごめん。 するつもりじゃ、全然なかったんだけど、体が勝手に……」

 究極にダサいとしか言えないな、もう……。

「嬉しかったよ、本当に」

「そ、そうか」

 なんか……恥ずかしいな。

「先生、顔が赤いよ?」

「……そら、ちょっと、恥ずかしいからな」

「ふふふ。先生可愛い」

「こら、先生をからかうな」

 と言ってはみたものの、矢薙の唇はプルプルしていて可愛いかった。

「ねえ、先生……」

「ん?」

「私……先生のこと好きです」

 俺はそんな矢薙を抱きしめて、「……俺も、矢薙が好きだ」と告げた。

「先生……嬉しい」

「俺も……嬉しいよ」

 なんか分からないけど、ものすごくドキドキする。
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