【完結】先生、私と愛のために結婚して。
【Episode03】

実の母親と血の繋がらない母親



「矢薙……」

 俺の体は、気がつけば矢薙を押し倒していた。

「先生、名前で呼んで……?」
  
 そんな目で見つめられたら、俺の理性はもっと飛んでしまいそうになる。

「咲音……」

 そう名前を呼んだ時、矢薙の表情は少しだけ緩んだ。

「先生……大好き」

 そんな矢薙がかわいく見えて、俺はつい矢薙の手を握ったーーー。



✱ ✱ ✱



「矢薙、今度の土曜日、挨拶に行こう」

 温もりがまだ残るベッドの中で、矢薙のことをそっと抱き寄せる。

「挨拶……?」

「矢薙の家に、挨拶に行かなきゃだろ? 結婚、するんだから」

 矢薙の両親と挨拶をまだしていないこともあり、結婚するから尚更挨拶をしなければ……と思う。

「……うん、ありがとう先生。両親も喜ぶと思う」

「なら尚更、幸せにならないとな」

「……うん」

 矢薙と夫婦になることで、俺の人生は変わること間違いない。
 でも今、矢薙には心配なことがあるから、それをなんとか早めに解決したい。

 矢薙の……本当の両親が、矢薙に会いたいと言っている。
 矢薙はきっと、複雑な気持ちでしかないはずだ。

 今まで矢薙を育てたのは、確かに今の両親に変わりはないし、矢薙だって今の両親がいい。それを望んでるはずだ。
 だとしても……なぜ今更、そんなことを?
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