【完結】先生、私と愛のために結婚して。
矢薙は「ありがとう……先生」と微笑みを浮かべる。
「しかし……また来るかもしれないな」
矢薙は心配そうな表情を浮かべながら「多分……諦めてないとは思う。 私が血が繋がっている唯一の肉親だし、頼りたくなる気持ちも……分からなくはないけど。それでもやっぱり……私はあの人のことを、今更母親だと認められないよ。今更なんなのって感じだし……。意味が分からない、本当に」と俺の手を握った。
「私には……先生がいれば、それでいい。 もちろん、血が繋がってないけど、私にはちゃんと両親もいる。 私は一人じゃないって分かった。だから、もう怖くないよ」
強がっているようにも見えるけど、矢薙なりの精一杯の伝え方なんだろうなと思った。
「そうか。怖くないか」
「うん。……先生がこうしていてくれるから、怖くない」
「……矢薙、早めに籍を入れよう。 籍を入れて、早く家族になろう」
繋いだ手の温もりは、これからもずっと続く。俺が矢薙のそばにいて、守ってあげないとな。
矢薙を一人にはしないし、ずっとずっとそばにいる。
「うん……先生と早く籍を入れたい。 家族に……なりたい」
「じゃあ……俺ももっと、頑張らないとな。 妻にもっと頼ってもらえるように、頑張らないと」
矢薙は「嬉しい。ありがとう、先生」と嬉しそうに微笑んでいる。