【完結】先生、私と愛のために結婚して。


「……ふざけるのも、いい加減にしろよ」

 俺がそう言うと、咲音の実の母親は「はあ? アンタなに?」と俺の方を向く。

「俺は、コイツの夫だ」

「夫?……え、なに? アンタこんなおじさんと結婚してるの?」

 咲音の実の母親は、咲音を見て笑った。

「……そうよ。この人は、私の夫よ」

「へえ? アンタこんなおじさんが趣味なの?趣味悪いねえ」

 実の母親からそう言われた咲音は、唇を噛み締めていた。

「……おい、アンタ」

「なによ?」

「俺のことを悪く言うのは、構わない。……でもな、実の娘なら、もっと娘の結婚のことを喜んであげてもいいんじゃないのか?」

 俺がそう言うと、母親は「はあ……?」というような表情で俺を見る。

「実の娘なんだろ? 今更現れたと思ったら、金をせびったり、娘の悪口を言ったり……そんなの、おかしいだろ?」

「……アンタに何が分かるの? 私は、コイツを奪われたんだよ!アイツらに」

 実の娘のことを……コイツ呼ばわりかよ。 本当に……ふざけてる。

「私の娘なんだよ、コイツは! 夫だかなんだか知らないけどさ、でしゃばんなよ!」

「でしゃばんなよは……こっちのセリフだよ!」

「咲音……?」

 母親に怒鳴り付けたのは、咲音だった。

「ふざけてんのは、アンタの方だよ!」
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