どうやら私、蓮くんに愛されているようです
「俺を恵那ちゃんの家に居候させて」

「えっ⁉︎」

「ダメ?」

「ダメ、というか、家、あるんでしょう?」

「あるけどちょっと遠いんだよね」

「職場までってこと?」

「うん」

「そうか、仕事が忙しい時、職場で寝るために、その寝袋待ってるんだね」

「ん、まぁね……近くに引っ越そうとは思ってるんだけど」

その時、冷たい風が吹きつけ、下ろしていた蓮の前髪がふわりと浮いた。

あっ!

ほんの一瞬だったが、蓮の額の生え際にある2センチほどの傷跡が目に留まった。
古傷のようなので、子供の頃に負った傷だろうか。
どんな理由かはわからないが、辛い思いをしたことに変わりはないだろう。わざわざ思い出させるようなことはしたくない。
恵那はそのまま気づかないふりをした。
そして、側にいてやりたい。そう思った。
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