どうやら私、蓮くんに愛されているようです
シャワーを浴び、リビングに戻ると、二人用のテーブルの上には玉子粥が用意されていた。

蓮は料理も得意だ。超能力者かと思うほど、恵那が食べたいものを作ってくれる。今朝も、お粥が食べたいと思っていた。しかも玉子粥。

「美味しそう」

テーブル椅子に腰掛け「いただきます」と手を合わせる。

「恵那ちゃん、ちょっと待って」

「どうしたの?」

向かい側にある蓮専用の椅子を、恵那の斜め前に置き、腰を下ろしたかと思うと、お粥の入った器を持ち、レンゲですくった粥をフーフーと冷まし始めた。

「はい、恵那ちゃん、あ〜ん」

恵那が口を開けると、そっとレンゲを口に運ぶ。

「美味しい!」

「良かった」

蓮が微笑む。とっても優しい笑顔だ。

「はい、あ〜ん」

結局、最後まで蓮が食べさせてくれた。

「恵那ちゃん、髪濡れてるね。乾かそうか」

「自分でやるよ」

「ダ〜メッ、恵那ちゃんの髪は綺麗でサラサラしてるから、触るのが気持ちいいんだよね。俺の楽しみ取らないで」

「うん……」

酔いが残っているのか、髪を触られている間、うつらうつらと舟を漕いでいると、いつのまにか髪は綺麗に整えられていた。

「ありがとう」

「どういたしまして」

「俺、キッチン片付けるね」

「私がやるよ」

「恵那ちゃんはソファーでゴロンしてな。まだ酔いが残ってるでしょ?」

「うん、少しだけ。あのね、蓮くん」

「ん?」

「後で出かけてこようと思う」

「どこに?」

「お見舞い」

「社長さんのところ?」

「うん。新商品のお披露目がもうすぐだら報告してくる」

「恵那ちゃんがリーダーで企画から携わってた商品、とうとうお披露目なんだ。喜ばしいことなのに、元気ないね」

「うん……」
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