どうやら私、蓮くんに愛されているようです
◆◆◆◆◆
「ルクススペイを買収する」
それは唐突に告げられた。
「新社長の傍若無人ぶりは目に余るものがある。姉さんが全てをかけ作り上げたものが、まざまざと壊されていくさまを黙って見ているわけにはいかない。動いてくれるか? 蓮」
「もちろんです」
高層階フロアの社長室。
RYUSHOホールディングス代表取締役であり、蓮の養父でもある柳楽直人の目には怒りが滲んでいた。
月島薫子は、直人の実の姉だ。
学生時代からの恋人、月島研吾と、駆け落ち同然で柳楽の家を出ていった。
研吾との交際を認めず、無理やり政略結婚させようとした父親、RYUSHOホールディングス会長、柳楽元朗に反発したのだ。
『二度と柳楽の敷居を跨ぐことは許さん!』
激昂した元朗は、問答無用で薫子を勘当した。
直人にとって、薫子はとても優しい姉であり、理解者だった。柳楽の後継者として厳しく育てられ、押し寄せるプレッシャーの波に押しつぶされないよう、薫子は常に、直人に寄り添っていた。そんな姉弟の絆は強い。
「ルクススペイを買収する」
それは唐突に告げられた。
「新社長の傍若無人ぶりは目に余るものがある。姉さんが全てをかけ作り上げたものが、まざまざと壊されていくさまを黙って見ているわけにはいかない。動いてくれるか? 蓮」
「もちろんです」
高層階フロアの社長室。
RYUSHOホールディングス代表取締役であり、蓮の養父でもある柳楽直人の目には怒りが滲んでいた。
月島薫子は、直人の実の姉だ。
学生時代からの恋人、月島研吾と、駆け落ち同然で柳楽の家を出ていった。
研吾との交際を認めず、無理やり政略結婚させようとした父親、RYUSHOホールディングス会長、柳楽元朗に反発したのだ。
『二度と柳楽の敷居を跨ぐことは許さん!』
激昂した元朗は、問答無用で薫子を勘当した。
直人にとって、薫子はとても優しい姉であり、理解者だった。柳楽の後継者として厳しく育てられ、押し寄せるプレッシャーの波に押しつぶされないよう、薫子は常に、直人に寄り添っていた。そんな姉弟の絆は強い。