どうやら私、蓮くんに愛されているようです

蓮の事情

蓮が直人夫婦の養子だとはっきり告げられたのは中学を卒業した時だ。
察しはついていたものの、自分から確かめることはしなかった。
その必要がなかったからだ。

柳楽家の子どもとして、義弟、直敬(なおたか)と共に愛され、何不自由なく育ててもらっていたから、確かめる必要もなかった。

直人は、薫子がなぜ蓮を手放さなければならなかったのか、包み隠さず教えてくれた。
養母も、連絡を取りたい時は取ればいいし、会いたい時には会いに行けばいい、そう言ってくれた。
連絡先も教えてくれた。

今更……

どんな理由であろうと、自分を手放したことには変わりはない。連絡先を教えてもらおうが、連絡する気もなかった。
とりあえず番号は登録したが、連絡を取ることもせず時は流れ、蓮は大学を卒業した。

『将来は直敬を支えて、会社を盛り立てていくんだぞ』

幼い頃からことあるごとに元朗から言われていた。
好きだった星の観測も、絵を描くことも閉じ込め、元朗の言葉通り、蓮はRYUSHOホールディングスに入社した。