どうやら私、蓮くんに愛されているようです
薫子が倒れ、副社長がすぐさま新社長に就任した。
まるで、薫子が倒れるのを待っていたかのようだ。
直人はルクススペイに探りを入れた。
新社長のワンマン状態だと報告を受け、怒りが湧いた。
このまでは近い将来、薫子が大切に守ってきた会社が崩壊の道を辿ることになる。
ならば、傘下に収め、グループ会社として存続させるほかない。

ルクススペイを買収する旨を元朗に伝えると、否定も肯定もしなかった。

RYUSHOホールディングスには化粧品会社がない。
元朗は将来、薫子に立ち上げさせようと考えていた。
しかし、薫子は出て行った。もちろん、薫子なしで化粧品会社を立ち上げることは可能だ。だが、元朗はそうしなかった。

薫子の夢である、化粧品会社設立。
どこにいても、いつかその夢を実現させるだろう。そう見越していたのは、他でもない元朗だったのだ。
ルクススペイを一番守りたいと思っているのは、元朗なのかもしれない。

そして、買収計画は着々と進められていった。
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