どうやら私、蓮くんに愛されているようです
そして恵那は、蓮が嫉妬するほど仕事が大好きだ。
仕事に対する情熱は相当なもので、化粧品に使用される成分の勉強はもちろん、社会人向けに大学で開催される応用生物学の公開講座などには必ずと言って良いほど足を運んでいる。
暇さえあれば何かしらの文献を漁り、商品開発に繋げようとしているのだ。そんな恵那の表情はイキイキとして眩しいくらい輝いている。
だが最近、時折辛そうな表情を浮かべるようになり、それは日を追う毎に増えていった。
ある日、会社の内情について、決して話さなかった恵那が、『社長が倒れ、会社が段々おかしい方向に進んでいる。社長が全てをかけて大切にしてきた会社なのに』と、沈んだ表情でこぼしたことがある。
そして恵那は続けた。
「社長は今、植物状態で入院してるんだけど、今の現状を報告するのが辛いよ」
「報告?」
「私、時々病院に行って、会社であったこととか、企画のこととか、いろいろ話をするの。社長の右腕で、私が信頼している部長も、私と同じことしてるんだよ。返事は戻ってこないけど、聞いてもらうだけでなんだか気持ちが安定するよね、もっと頑張らなきゃって思うよねって」
「恵那ちゃんも、部長さんも、社長さんのこと、凄く信頼してるんだね」
「うん」
その時、病院で見かけた40代くらいの女性が、恵那の話す部長だったのだなと理解した。
そして、恵那の表情や話しぶりから、やはり、ルクススペイの内情は悪化しており、一刻の猶予もないのだと買収を早めるよう直人に打診したのだった。
仕事に対する情熱は相当なもので、化粧品に使用される成分の勉強はもちろん、社会人向けに大学で開催される応用生物学の公開講座などには必ずと言って良いほど足を運んでいる。
暇さえあれば何かしらの文献を漁り、商品開発に繋げようとしているのだ。そんな恵那の表情はイキイキとして眩しいくらい輝いている。
だが最近、時折辛そうな表情を浮かべるようになり、それは日を追う毎に増えていった。
ある日、会社の内情について、決して話さなかった恵那が、『社長が倒れ、会社が段々おかしい方向に進んでいる。社長が全てをかけて大切にしてきた会社なのに』と、沈んだ表情でこぼしたことがある。
そして恵那は続けた。
「社長は今、植物状態で入院してるんだけど、今の現状を報告するのが辛いよ」
「報告?」
「私、時々病院に行って、会社であったこととか、企画のこととか、いろいろ話をするの。社長の右腕で、私が信頼している部長も、私と同じことしてるんだよ。返事は戻ってこないけど、聞いてもらうだけでなんだか気持ちが安定するよね、もっと頑張らなきゃって思うよねって」
「恵那ちゃんも、部長さんも、社長さんのこと、凄く信頼してるんだね」
「うん」
その時、病院で見かけた40代くらいの女性が、恵那の話す部長だったのだなと理解した。
そして、恵那の表情や話しぶりから、やはり、ルクススペイの内情は悪化しており、一刻の猶予もないのだと買収を早めるよう直人に打診したのだった。