どうやら私、蓮くんに愛されているようです
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その日は直人の指示で会議室にいた。
訪問者の対応だ。
どうしても社長と話をさせて欲しいのだと受付から離れないアポ無しの客人がいた。困った受付の社員が機転を効かせ、名刺だけを預かって引き取ってもらった。
その名刺は直人のもとに届けられ、目にした直人はすぐさま秘書に、その人物と連絡を取るよう指示を出した。
統括部長室の内線が鳴り、受話器を取ると、相手は直人だった。
「蓮、話を聞いて欲しい人物がいる」
「誰ですか?」
「ルクススペイの執行役員で、経営企画部の部長だ」
「ルクススペイの役員がどうして?」
「だろう? 俺と直接話をしたがっているようだが、まずは蓮、お前が対応してくれ。お前の判断で俺が会うかどうかを決める」
「わかりました」
会議室のドアがノックされ、その人物が姿を見せた。
その姿を見た瞬間、「えっ!」思わず口から飛び出そうになったが、かろうじて飲み込んだ。
間違いない。病院で見かけた女性だ。
「この度は、貴重なお時間をいただき、このような機会を与えてくださいましたこと、心よりお礼申し上げます」
深々と頭を下げ、顔を上げると蓮の目をしっかりと見据えた。
「ルクススペイ、経営企画部部長の浅田美奈子と申します。よろしくお願いします」
「私は、グループ経営戦略室、統括部長の柳楽です。どうぞ、おかけください」
美奈子は席に座ると姿勢を正した。
訪問者の対応だ。
どうしても社長と話をさせて欲しいのだと受付から離れないアポ無しの客人がいた。困った受付の社員が機転を効かせ、名刺だけを預かって引き取ってもらった。
その名刺は直人のもとに届けられ、目にした直人はすぐさま秘書に、その人物と連絡を取るよう指示を出した。
統括部長室の内線が鳴り、受話器を取ると、相手は直人だった。
「蓮、話を聞いて欲しい人物がいる」
「誰ですか?」
「ルクススペイの執行役員で、経営企画部の部長だ」
「ルクススペイの役員がどうして?」
「だろう? 俺と直接話をしたがっているようだが、まずは蓮、お前が対応してくれ。お前の判断で俺が会うかどうかを決める」
「わかりました」
会議室のドアがノックされ、その人物が姿を見せた。
その姿を見た瞬間、「えっ!」思わず口から飛び出そうになったが、かろうじて飲み込んだ。
間違いない。病院で見かけた女性だ。
「この度は、貴重なお時間をいただき、このような機会を与えてくださいましたこと、心よりお礼申し上げます」
深々と頭を下げ、顔を上げると蓮の目をしっかりと見据えた。
「ルクススペイ、経営企画部部長の浅田美奈子と申します。よろしくお願いします」
「私は、グループ経営戦略室、統括部長の柳楽です。どうぞ、おかけください」
美奈子は席に座ると姿勢を正した。