どうやら私、蓮くんに愛されているようです
すぐさま社長室へ向かい、美奈子とのやり取り全てを直人に報告した。

「なかなか思い切ったことをする女性だな」

「はい、私も驚きました」

「社名も理念も変えるなと?」

「はい」

「まぁ、変える気など毛頭ないがな」

直人は笑みを浮かべた。

「社長、これは提案なのですが……」

「何だ?」

「彼女を引き抜いてはどうでしょう?」

「そこまで信用して大丈夫なのか?」

「はい。もし、彼女を引き抜いたことで不利益が生じるようなことがあれば、全て私が責任を負います。切り捨て貰って構いません」

「お前がそこまで言うとはな…… わかった、蓮、お前に任せる」

「ありがとうございます」


それからまもなくルクススペイはRYUSHOホールディングスの傘下に入った。

社名も企業理念もそのままだ。だが、重役連中には退いてもらった。会社を私物化していたのだから自業自得だ。
あとは管理職の処遇をどうするか。
全員面談し、直接話を聞いた上で決めることになった。
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