どうやら私、蓮くんに愛されているようです
後日、管理職の処遇が決定した。ほぼ全員が職務の継続。しかし、男性部長と紗夜子は管理職を降格となった。

RYUSHOホールディングスのグループ会社として、ルクススペイは、代表取締役社長に直人、専務取締役に美奈子が就任し、新体制での経営となる。商品企画広報も、商品開発部と広報部を分けることとなった。
そして、商品開発部の部長に恵那が抜擢された。
美奈子の推薦だ。


今、恵那が会議室で待っている。
何故呼び出されたのか分からずに動揺しているに違いない。

「浅田さん、先に会議室に行って、堅石さんに内示通達をお願いできますか? 私は後ほど参ります」

「かしこまりました」

美奈子が恵那の待つ会議室へ入って行った。さぞかし驚くことだろう。
加えて、蓮まで姿を現したならばどうなるだろうか。
大切な内示通達だ。あまり動揺させたくはない。

頃合いを見計らい、入室することにした。
全てを告白する時だ。
決して騙していたわけではない。だが、黙っていたことには変わりなく、もしかしたら、裏切り行為と捉えられてしまうかもしれない。
それでも、もう隠し通すことはできない。
恵那との穏やかな日々を失ってしまうことになっても、向き合わなければならないのだ。

蓮は大きく深呼吸をすると、会議室のドアをノックした。


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