どうやら私、蓮くんに愛されているようです
全てを知って
◇◇◇◇◇

会議室のドアがノックされ、目の前に現れた人物を目にした瞬間、驚きのあまり声を失ってしまった。

「内示通達は終わったかな?」

「はい、堅石さんにはたった今伝えさせていただきました」

これはど、ど、どういうこと?

「れ、蓮くん?」

恐る恐る口にした。

「蓮くん⁉︎」

一番反応したのは美奈子だった。

「えっ⁉︎ 何、え⁉︎」

美奈子が激しく目を瞬かせている。
恵那も、いまいちこの状況が呑み込めない。
美奈子と恵那はお互い目を瞬かせながら向かい合った。

「堅石さん、蓮くんって、どういうこと?」

「え、あ、えっと…… 」

恵那は蓮に視線を移す。

「同居人です」 

蓮はイタズラっぽい笑みを浮かべ、美奈子に告げた。

「はっ⁉︎ 同居⁉︎」

「俺、堅石さんに拾われたんです」

「は? 益々意味がわかりません」

「ね、そうだよね、恵那ちゃん」

「え、恵那ちゃん⁉︎ ⁉︎ ⁉︎」

「え、あ、え、あ」

動揺して上手く言葉が出てこない。

蓮の顔を見やれば、相変わらずの笑顔を浮かべている。

「統括部長、説明をお願いいたします!」

統括部長⁉︎

「ごめんね、恵那ちゃん。驚かせてしまって」

「私も目ん玉が飛び出るくらい驚いているのですが」

「浅田さん、怒ってる?」

「怒ってはいません。どういうことなのか、ご説明いただきたいだけです」

「ん〜 何から話せばいいんだろう。恵那ちゃん、どこから話そうか」

そんなことを言われても、こちらが説明して欲しいくらいだ!

「私も、説明して欲しいです!」

蓮は恵那の側に立ち、恵那の目を見つめた。

「俺は、RYUSHOホールディングス、グループ経営戦略室の統括部長なんだ」
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