どうやら私、蓮くんに愛されているようです
好きなようにメイクができる年齢になり、いざ購入しょうとしたものの、思いのほか高額なことにショックを受けた恵那は、当時の母親の怒りも理解できた。

手に届く範囲の安物を買い、メイクをしてみると、石油の匂いか何かはわからないが、不快な気持ちになった。しかも、肌に合わなかったのか、瞼がかぶれてしまったのだ。
まさしく母親の言っていたアレルギー反応だった。
そして恵那は思った。低価格でも、しっかりとした化粧品を作りたい、と。

大学に進学し、化粧品会社の採用試験を片っ端から受験した。しかし、お祈りメールの嵐。諦めかけた恵那に唯一手を差し伸べてくれたのがルクススペイだった。
最終面接で化粧品に対する想いを熱く語りすぎ、面接官だった薫子に笑われてしまった恵那は、てっきり不採用だと思い込んでいた。だが、蓋を開けてみれば内定という結果に驚き、泣いて喜んだ。
< 5 / 53 >

この作品をシェア

pagetop