心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「……で? なんで聖女について調べたりしたんだよ」

「ほら。俺、10歳の頃落馬したことがあっただろ? あれで左足やっちゃって、騎士への道を断たれたからさ」


 グレイは当時のことを思い出した。
 普通に歩いたり走ったりはできるが、長時間の運動や身体に大きな負担が掛かることはできないと言われたレオ。

 ずっと夢だった騎士を諦めなくてはならないと、落ち込んでいた時期があった。
 しかし持ち前の明るさで、すぐに立ち直っていたように見えていた。


「聖女の力で治らねーーかなぁ……って、ちょっと調べただけだよ」


 ははっと笑いながら話すレオを、グレイは真顔で見つめる。
 昔から見慣れている、レオの笑顔。



 すぐ思ってることが顔に出るヤツだが、本当に苦しいこととかは隠して無理に笑う……昔から変わってないな。
< 108 / 765 >

この作品をシェア

pagetop