心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「お前……今でも聖女がいたらいいなって思ってるか?」
「え?」
「だから、聖女に足を治してもらいたいか? って聞いてるんだ」
「なんだよ、いきなり……。そりゃ、治せるなら治してほしいけど。でも聖女ってもう100年以上も生まれてないんだろ? 運よくこの時期に生まれるわけ……」
「レオ、今日うちに泊まりに来い」
「ええ!?」
突然好き勝手言い始めたグレイに、レオは目を大きく見開いてあたふたしている。
グレイはずっと真顔のまま、至って平常運転だ。
「え……俺、泊まりに行っていいの? 遊びに行くのすら断られてたのに」
「今日だけだ」
「ええ!? なんだよ、何かあるの!?」
「…………」
「え!? 無視!?」
「うるさい。いいから黙ってうちに来い」
「わ……わかった」