心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
 何か面白いものが見つかると思っていたが、それはイザベラの不正の証などを想像していたのだ。

 イザベラの手腕では、不正もなくこんなにも順調に経営がうまくいくはずがない、とグレイは疑っていた。
 仕事に関する悪事、偽造、その証拠……そういったものを期待していたのである。

 監禁(これ)はグレイにとっても予想外だったが、よく考えれば不正の証拠よりも良い収穫かもしれない。
 


 幼い子どもを監禁している伯爵家当主とはおもしろい……。



 グレイはニヤリと笑った。
 とても笑顔と呼べたものではないが、それでもグレイが笑ったのは久しぶりのことであった。



 そもそも、この子どもは誰だ?
 どこから連れて来た? 誘拐したのか? 路上にいた平民でも拾ってきたのか? 
 ……なんのために?
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