心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ポカンとしているレオにそれだけ言うと、グレイは聖女の本を手に取る事なく図書館をあとにした。
嬉しそうに横をついてくるレオが鬱陶しくて、今日の泊まりはなかったことにしよう、と言いそうになるのをグレイはグッと我慢した。
聖女のことを誰かに話す気などなかったのに……。
今日このタイミングでレオが現れていなければ、わざわざ自分からレオの足を治してやろうとは考えなかっただろう。
グレイはチラリと隣で笑っているレオを見た。
泊まりに行けるのが余程嬉しいらしく、楽しみにしているのが顔に出すぎている。
運のいいヤツだな。俺とマリアに感謝しろ。
そう思っているものの、実はグレイ自身もそんなに悪い気はしていなかった。