心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 レオはマリアの姿を見て、目を見開いたまま硬直した。


「妹のマリアだ」


 そう紹介すると、レオは人形のようにギギギ……と首だけゆっくり動かしてグレイを見た。
 顔色は青く、冷や汗がたくさん出ているようである。


「い……妹だって?」

「ああ。そうだ」

「いやいやいや……妹とか、それ以前に……な、なんなのこの状況。な、なんでこの子は監禁されてるの?」


 レオはプルプル震える指で、マリアを指している。
 マリアはじーーっとレオの方を見上げたまま動かない。


「理由なんて知らないな。あの女の考えてることなんてわからない」
< 113 / 765 >

この作品をシェア

pagetop