心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「グレイのお母さんがやってるの……? でも……妹なんでしょ? どうして助けてあげないの?」
「助ける?」
「檻から出してあげなくていいの!?」
グレイはレオの言葉に軽い衝撃を受けた。
真っ直ぐにグレイを見つめるレオの瞳は、必死に何かを訴えている。
檻からマリアを出す……?
「そんなの、考えたことなかったな」
「なんで!?」
レオは1人でオロオロと慌てふためいている。
「可哀想だよ! こんな眼帯させられて、足は鎖でつながれてる! 出してあげよう!!」
「無理だな。牢の鍵がない」
「じゃあ探そう!」
「……なんでそんなに出したがるんだ? 出たところで、本邸で一緒に暮らすのは無理だぞ。あの女がそれを許すはずないからな」