心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「グレイのお母さんがやってるの……? でも……妹なんでしょ? どうして助けてあげないの?」

「助ける?」

(ここ)から出してあげなくていいの!?」


 グレイはレオの言葉に軽い衝撃を受けた。
 真っ直ぐにグレイを見つめるレオの瞳は、必死に何かを訴えている。



 檻からマリアを出す……?
 


「そんなの、考えたことなかったな」

「なんで!?」


 レオは1人でオロオロと慌てふためいている。
 

「可哀想だよ! こんな眼帯させられて、足は鎖でつながれてる! 出してあげよう!!」

「無理だな。牢の鍵がない」

「じゃあ探そう!」

「……なんでそんなに出したがるんだ? 出たところで、本邸(むこう)で一緒に暮らすのは無理だぞ。あの女がそれを許すはずないからな」
< 114 / 765 >

この作品をシェア

pagetop