心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 マリアはコクリと頷いた。


「えっ……?」


 マリアは格子の間から手を出し、レオの左足に手のひらを向けた。
 黄金色の光がレオの左足を包んでいるのが、グレイにもはっきり見えている。


「わああ……! な、何これ!?」

「静かにしろ」


 しばらくして光が完全に消え去ると、マリアは手を引っ込めた。
 レオは信じられないものを見るように、自分を見上げているマリアを見つめた。


「左足、治ったはずだぞ」

「……!!」


 レオはその場で思いっきり高くジャンプした。
 どすん! と着地をしたあと、小さな声でボソリと呟く。


「……痛くない」

「どうだ?」

「痛くない……!! 痛くないよ、グレイ!!」
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