心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「……檻から出ただけでは、捕まらない。お前がこの家から逃げ出したら……捕まるかもな」
「じゃあマリアは出たくない……」
「……!」
「マ……マリアちゃん、なんていい子なんだ……! さすが聖女様! 見た目だけじゃなくて心の中までキレイなんだねぇ……」
少年はウルウルした瞳でマリアを見つめている。
喜ばしいはずのその言葉を聞いたマリアは、不思議に思った。
マリアがいい子……? 悪い子なのに……?
マリアが檻から出たくない理由は、実はもう一つあった。
この檻はマリアを守ってくれる盾なのである。
この盾は、定期的に訪れるイザベラの攻撃からマリアを守ってくれるのだ。