心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 たまにこの檻から出されては、イザベラに罵倒されながら暴力を振るわれる。


「あんたは悪魔の娘だ」
「あんたが全て悪い」
「あんたのせいで、私の人生はめちゃくちゃだ」


 この女の人が怒っているのは、マリアのせい。マリアが悪いから。マリアが悪い子だから。


 マリアがそう思い込むまでに、時間はかからなかった。

 しかし、自分が悪いと納得していても暴力を振るわれるのは避けたい。
 聖女の力ですぐに治癒はできるが、叩かれた時はもちろん痛みがある。

 イザベラは機嫌がいい日と悪い日があり、さらにマリアの檻の鍵も毎回持ってきているわけではない。

 ()()()()機嫌が悪い日と鍵を持ってきている日が重なると、檻から出されて折檻(せっかん)させられるのである。
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