心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
17 マリアを檻から出してあげようよ!
「俺の名前はレオ。俺のこともお兄ちゃんって呼んでいいよ」
「お兄ちゃん……?」
さっき会ったばかりだというのに、図々しくもマリアに兄と呼ばせているレオを、グレイはジロっと睨みつけた。
そんな睨みに気づかないのか、レオは目をキラキラと輝かせながらグレイを振り返った。
「うおお……! 聞いたか!? お兄ちゃんって呼んでくれたぞ。なんかめちゃくちゃ嬉しいんだけど!」
「なんでお前がお兄ちゃんなんだ。関係ないだろ」
「いいだろ! 俺だって妹がほしかったんだ」
「ダメだ。マリア、こいつのことはレオと呼べ」
キャンキャン吠えるレオの意見を無視して、グレイはマリアに向かって言った。
「レオ……?」
マリアを見つめながら、小さな声で「お兄ちゃん、お兄ちゃん……」とブツブツ呟いていたレオは、名前を呼ばれた途端にまた顔を輝かせた。