心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
マリアは檻に監禁されて鎖でつながれ、目を眼帯で隠されている。これだけで十分『酷い扱い』である。
その様子を見てすぐに檻から出そうとしたレオに、さらにマリアが『酷い扱い』を受けていると伝えたなら、この男は今すぐ別邸へ向かおうとするだろう。
マリアに傷などは見当たらない。
おそらく聖女の力で治しているのだろうが、見た目に傷がないため暴力を受けている印象はない。
さらにレオの記憶にある昔のイザベラは、優しく可憐な女性であったはずだ。
この2つの理由から、レオはまだ今の時点ではマリアがそこまで酷い扱いをされているとは考えていないだろう……とグレイは思っていた。
ここでレオに暴走されては、事態がさらに悪化する可能性もある。
まずは、イザベラがマリアをどのように扱っているのか、もし檻から出した場合にどのような行動をするかを予測して考えなければいけない。