心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「信頼してもらうためには、たくさん会う! たくさん話す! これが1番だよ!」


 そう、レオが言っていた。
 情報を聞き出すだけではなく、会話を楽しめ……と。



 会話を楽しむ?



 聞き慣れない言葉に、グレイはぐるぐると頭を巡らせていた。




 夜になると、グレイはまた別邸に忍び込んだ。
 初めて訪れた日よりも月が欠けているからか、屋敷内がさらに暗くなったように感じる。

 何度か訪れた場所でなければ、入るのを躊躇してしまうような暗さだ。

 グレイはいつものように真っ直ぐに2階奥の部屋に向かい、静かに扉を開けた。
 檻の前に移動すると、マリアが眼帯越しにグレイを見上げてきた。
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