心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
 グレイの次の言葉を待ってジッと見つめると、グレイは一度下げた視線を再度上げてマリアと目を合わせた。

 真っ直ぐな視線。迷いのない瞳。整った顔立ち。
 薄暗い部屋の中だが、聖女の瞳を持つマリアにははっきり見えている。



 なんてキレイなんだろう……。



 相手は男だとわかっていても、マリアはグレイを見て素直にそう思った。
 
 グレイは何かを覚悟したような瞳で、顔を少しだけマリアに近づけて話し始めた。


「いいか。お前は悪魔の子なんかじゃない。お前は聖女だ」

「セイジョ……」

「伝説の聖女は、国の宝であり、国民の憧れであり希望だ。もう何100年も生まれてきてなかった。お前は特別な存在なんだ」
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