心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
 となると、次の案は……。



 イザベラを説得するか?



「……無理だな」


 ここ数年まともに会話なんてしていない。
 グレイの言葉を素直に聞くなんてとても思えないし、会話ができる気がしない。そうなると……。



 イザベラを監禁するか?



「…………」

「グレイ様。お飲み物をお持ちしました」

「!!」


 気づけばグレイの目の前には執事のガイルが立っていて、机にティーカップを置いていた。

 グレイの祖父の友人でもありこの屋敷で1番長く働いている年配のガイルは、祖父が死んでからも伯爵家が崩壊してからも、辞めずにずっと執事として働き続けている。

 特に何か指導してくることも、余計な口を出してくることもない。
 淡々と仕事をこなす変わったジジイだ、とグレイは思っていた。
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