心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
……もし本当にイザベラを監禁するとしたら、俺1人の力では無理だな。誰か他の協力者が必要だ。
例えばこのジジイとか……。
グレイは無意識にガイルをジッと見つめた。
ガイルはいつも少し下に視線を向けていて、あまり目が合うことはない。
今もガイルの視線は机に並べているカップと軽食に向けられている。
このまま何も言うことなく部屋から出て行くのだろう……とグレイは思っていた。
「何か御用でしょうか?」
「え?」
突然そう言われ、ガイルの少し垂れたシルバーの瞳と目が合った。
優しそうでもあり、全て見透かしているような不思議な瞳がジッとグレイを見つめている。
「私に何かを求められているように感じましたので」
「…………」