心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
どういうことだ? 聖女のことまで知っているのか?
だがそれを密告したら、ヴィリアー伯爵家が潰されるかもしれないからずっと黙っていたと言うのか?
グレイはガイルをジロっと睨んだ。
味方なのか敵なのかよくわからないが、なんとなく気に入らない。
「俺が誰を監禁しようと考えているのか、わかっているのか?」
「イザベラ様ではないのですか?」
「……! それを知っていても、俺が地下室を用意しろと言ったら用意するのか?」
「はい」
ガイルの顔色は全く変わらない。
堂々としすぎていて、焦っている自分の方がおかしいのではないかという錯覚に陥りそうになる。
「……伯爵家を守ると言いながら、当主を裏切るのか?」
「私が守りたいのはヴィリアー伯爵家であって、イザベラ様ではありません」
「!!」